PRESS LOG #1「意味のある名刺のために」
株式会社akeru・大連達揮さん

福井県を中心に活動する「株式会社akeru」代表取締役の大連達揮さん
2022年の夏から、約4年にわたりあさだ屋の箔押し名刺をご利用いただいています。
これまでに配られた名刺は、なんと1,200枚以上

学生から企業まで、日々幅広く関わる大連さんに、箔押し名刺を選んだ理由と実際の反応を伺いました。

株式会社akeruについて

株式会社akeru

会社名の由来は「夜が明ける」という言葉から。
「その人や会社、地域にとって【夜が明ける】時に感じるような、”新たな始まり”を提供できる存在になりたくて」と大連さん。

株式会社akeruは、2015年から福井県を拠点に人材領域の仕事を行う会社です。
就職・転職活動の支援や、インターンシップの企画・運営、セミナーや研修の実施など、個人と法人の双方に向けてキャリアに関する活動を展開しています。

「企業への就職を目指す学生だけでなく、起業を考えている人の支援も行っています。
経営層や人事担当者を対象にした、研修やコンサルティングもさせてもらっていますね」
と大連さん。

こうした支援のひとつに、ユニークなキャリアイベントの企画・運営もあります。

たとえば2023年度から福井県の事業として企画・運営されている「パブリレ!」は、就職希望者と企業をつなげるマッチングイベント。
面接官からの質問に答える一般的な就職活動の形式とは異なり、学生が企業に向けて自分のやりたいことや興味関心を一対一でプレゼンし、その後企業側からフィードバックを受けるというスタイルです。最近では就職希望者だけでなく、転職希望者を対象とした同イベントも運営されており、実際に、イベントに参加した企業に就職した学生や社会人も出てきています。

「進路を問わず、『こういうことがしたい』『こんなふうに生きたい』と具体的でなくてもなにか言葉にできるような、能動的に動きたい人のサポートをすることが多いですね」

ローカルでのつながりを活かして

さらに近年では、飲食業やシェアハウスなど、衣食住の領域にも活動を広げています。

飲食では「おいしさ、ゆたかさ、わかちあう。」をコンセプトにした『アケル食堂』と『創作小鉢あけると』の2店舗を展開。福井市内で運営するシェアハウスは、学生や20代を中心にさまざまな交流が生まれる場となっています。

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アケル食堂で提供されている「アケル食堂の定食ランチ」税込1,500円(Instagramより)。
お盆や箸置きの形は、akeruさんのロゴマークがモチーフとなっている。

幅広い業務展開の根底には、「地域社会に生きる人たちの力になる」という使命がありました。

「ローカルって都市部と比べてコミュニティが狭く、仕事とプライベートの境界が曖昧なんです。
地域や人間関係のことが、良くも悪くも周りに知られている。だからこそ、衣食住にも関わることでその人のキャリアや働き方を包括的に知れて、自然と連動性も生まれると思いました。
なにかあったら相談しやすい』という環境をつくれるな、と」

以前から、飲食業の経験がある社員の方と「いずれ飲食業をやれたらいいね」と話していたそうです。
同時に、『akeru』という名前をより多くの人に知ってもらいたいと考えていた時期でもありました。飲食業を始めるのにふさわしい場所との出会いも重なり、2024年5月に『アケル食堂』がオープンしました。

また、シェアハウスでは、人生相談を定期的に受けているといいます。

「最近も、起業か就職かで悩んでいた入居者の一人に、別の入居者が働く会社を紹介したところ、最終的に就職することを決めていました。もともと働いていた子も、実は僕が関わった事業をきっかけに転職しているんです。さらにその会社は、僕の同級生が経営していて(笑)。そんなふうに、いろんな縁がぐるぐるとつながっていますね」

自然な関係性から生まれる事業展開

こうした取り組みの広がりにより、これまで「大連さんが」と個人で語られていた活動が、「akeruさんが」と組織として認識される場面も増えてきたそうです。今後は、大連さん個人に依存しない組織づくりにも注力していきたいとのこと。
「そうすることで、活動の持続性が高まると思っているんです」と大連さん。

一方で、今後の事業展開に関しては、「『これを絶対に伸ばす』という領域は固定していない」といいます。
未来を予測することは難しいからこそ、持っている資源や関係性を活かしながら結果を出し、新しい可能性を広げていく。そんなエフェクチュエーションという経営手法を大切にしていました。

「目標から逆算して取り組むと、どうしても折り合いを付けなくてはいけない部分が出てきてしまいますよね。
そうではなく、日々の仕事を通じて企業の方から『こんなこともできますか』と声をいただき、次の取り組みにつなげていく。その自然なサイクルのほうが自分には合っているし、地方という環境にも合っているなと感じています」

きっかけは「紙の色」から

大連さんの名刺は、厚紙の王様「GAファイル グレー」に
艶のある「メタリック黒箔」を組み合わせています。

学生から企業関係者まで常に多くの方と関わり、年間約400枚の名刺を手渡している大連さん。
意外にも、名刺を変えるきっかけとなったのは、「箔押し」ではなく「紙の色」でした。

「僕はいつも、『世の中はすべてグレーの濃淡である』と考えています。白黒はっきりしないことのほうが多いし、正しいと断言できるものって少ないじゃないですか。その価値観を名刺に反映させたくて、グレーの紙で名刺を作れる場所を探していたときに、デザイナーの吉鶴かのこさんが『あさだ屋』を紹介してくれました」

名刺をお渡しする機会が多いからこそ、その存在意義についても深く考えてこられたそうです。

「今の時代、デジタルでなんでも完結してしまうし、名刺に載っている電話番号やメールアドレスに連絡する機会は少なくなってきていますよね。でも、名刺交換という場はまだ続いている。それなら『名刺に意味を持たせる』ということを大事にしようと思って、箔押しで作ることを選びました」

箔押し名刺に込めた2つの意味

グレーの紙をきっかけにたどり着いた、「箔押し名刺」という選択。大連さんがその名刺に込めた意味は2つあります。

最も大きな理由は、社員に「選ぶ体験」を与えるためでした。

「『akeru』のメンバーは、グレーの紙8種類と箔4種類(白・黒・金・銀)の32パターンから、自分の名刺の組み合わせをそれぞれ選んでいます。この『選ぶ』という行為がすごく大事で。持ち物に愛着が湧くし、『どうしてこの名刺にしたか』を自分で話すこともできる。自信を持って名刺を渡せるようになりますよね」

高級名刺の定番「ディープマット」やおしゃれな色が揃う「カラープラン」、マットな質感が特徴的な「キュリアススキン」など。色味や風合いの異なる紙のなかから、一人ひとりが自分に合った「グレー」を選んでいるそうです。
名刺に掲載する連絡先も各自が決めており、どの方の名刺も、シンプルながら「自分らしさ」と「会社としての統一感」を両立した仕上がりになっていました。

一人ひとり仕様の異なる、akeruさんの箔押し名刺。
ずらりと並ぶと迫力があり、美しいです。

もうひとつは、ブランディングの観点からです。

「『akeru』は研修や企画などのコンテンツを提供している会社であって、形あるものを売っているわけじゃない。そうなると、その人の持ち物や振る舞い次第で、一気に印象が決まってしまうわけです。
だから、『名刺が安っぽくない』『しっかりしたものを使っている』ということが、『akeru』という会社のブランディングを作っていくうえですごく大事なんです」

前職でブランディングに関わっていた経験も、この考え方の土台になっているといいます。
一通り話してくださったあと、「僕、こんなに考えて名刺を作っていたんだなって、自分でびっくりした」と、ご自身でも振り返るようにおっしゃっていたのが印象的でした。

「名刺への共感」が縁を作る

箔押し名刺を渡すと、声を掛けてもらえることが多いといいます。

『めっちゃいいですね!』『おもしろい!』と言ってもらえます。複数人で伺うとさらに効果抜群で、『みなさん違うんですね』と気づいてもらえる。そこから会話が生まれて、アイスブレイクの役割を果たしてくれるんです」

名刺にコストをかけることへの感覚は、人によって大きく異なります。だからこそ、名刺を渡すときの好意的な反応そのものが、相手を知る手がかりになるのだそうです。

「箔押し名刺をいいと思ってもらえるということは、コストをかけている意味が伝わっているということだと思っています。アートやデザインが好きだったり、共感できる部分も多い。だからなのか、名刺にポジティブな反応をしてくれた人とは、仕事の話も合いやすいんです。名刺を渡すだけで、こちらからなにか語らなくても、『こういう取り組みをしている会社なんだ』と前向きに認識してもらえる。その役割も果たしてくれていますね」

ただ話題を作るだけでなく、本題へ自然と誘導し、共感を生む手段としても名刺が機能しているようです。
そんな箔押し名刺は、4年の間、箔色も紙色も変更していないといいます。

「akeru全体で見ても、ほとんどの人は変えてないんじゃないかな。改めて見て思ったけれど、僕、名刺に飽きてないねその何気ないひと言に、選び抜いた一枚への確信と、長く使い続けてきたからこそ生まれる愛着がにじんでいました。

取材協力:株式会社akeru
文:中島明日香

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